そんなに考えなくてもいいと思う

しかし、考えることをやめられない。今の目標は、考え過ぎて動けないから動きながら考えるへのチェンジです。

それで残ったもの

当時住んでいたシェアハウスの住人とブルーマウンテンズに行った。
前の日は仕事だし、次の日も仕事。
正直行きたくないと思った。
くたくたで。
でも、オーナーが仕事には間に合うように帰るよ、って言ってくれたから
そこまで言うなら行ってもいっか、と行ってみた。
 
よかった。
空が青くて深くて澄んでいた。
壮大で雄大。
エコーポイントから見るスリーシスターズ。
そこから、ブッシュウォーク。
最初は下りだからるんるるん。
でも、時間がないから途中で引き返した。
つまり、上り。
ひたすら上り。
しかも急。
階段になってるけど、それがよけいにつらい。
仕事の疲れも相まってへろんへろん。
 
登りきったとき。
風が吹いた。
ふわっと。

その風が気持ちよくて
この風を感じられるなら生きてもいいと思った。
 
それだけだったけど、後からあの風が忘れられなかった。
帰ってからもう一度あの風を感じたいと思った。
山に登りたいと思った。
 
通勤は徒歩だったが、家を出て最初にけっこうな上り坂があった。
それが最初のころはきつかったが、あの風を感じてから
その上り坂を山と考えるようにした。
そう、山と思えば楽しい。
マイナスイオン、川のせせらぎ。
そして登りきるとーーー

道路だ。
まごうことなき道路だ。

日々は仕事と山への思いで過ぎて行った。

仕事をやめ、オーストラリア旅行へ。
当初はメルボルンを考えていたが、自然を感じたくてタスマニアへ。
1週間のタスマニア旅行の前にウルル。
 
パネェ。
ウルル、でけぇ。
ハエ多い。
野生のラクダがいる。
サンセットとサンライズを観る。
感動。
きれい。
色の変化がきれい。
感動。
よかったなぁ。
やっぱウルルいいなぁ。
本当は登りたかったけど、強風のため断念。
いいんだ、その雄大さを観れただけでも。
 
もう一度ブルーマウンテンズ。
今度は最後まで登りきった。
2時間のうち最後の45分間急な登りという鬼コース。
看板にも「hard」ってあって、警告みたいな感じだった。
私以外の人は全員体鍛えてます。玄人です、といった雰囲気。
初心者の私は追い越されるしかなかった。
途中の風景はいいし、マイナスイオンたっぷりで癒される。
けど、最後の急な上り坂しんどい。
息ができない。
それでも景色は最高。
ただ、あまりにしんどくて、しばらく動けなかった。
息は全然整わない。
 
そのとき。
あの風が吹いた。

気持ちいい。
 
いやぁ、吹きどころわかってますなぁ。
 
風に勇気づけられ、最後まで登りきる。
うん、やっぱいい。
懸念された筋肉痛もなく、確実に体力付いてきた。

 
ジェノランケーブ。
見学可能な世界最古の鍾乳洞。
なんだこれ。
シャンデリア?
パレス?
圧巻。
荘厳且つ壮麗。

ガイドブックにもあまり載ってないけど、これは見れてよかった。
よかった。
自然、よかった。


1週間タスマニア旅行。
楽しく登山。
やっぱ登山いいよ。
もう、登山に目覚めてるから楽しくてしょうがない。
ゆったりと自然に触れる時間。
贅沢贅沢。
しかし、動物園でカンガルーにパンチされるという歓迎を受けた。
あのね、立ち上がったカンガルーの怖さはなかなかよ。
同じくらいの身長あるからね。
怖いよ。
服はつかんでくるし。
カンガルーに囲まれるジャパニーズ。
オージーはそれを笑って見ている。
助けてくれよ!
ワラビーはね、かわいいのよ。
本当に可愛いのよ。
ひたすらかわいいのよ。
カンガルーはあまり近づいてはだめ。危険。
 
タスマニア旅行最終日の夜。
バックパッカーのベッドの中でふと思いついた。

山に登ろう。

純粋にやりたいことっていったら、これだ。
いいね、登ろうか。
そして、思った。

エゴイストになろう。

働くことについて、誰かのためとか役に立ちたいとか、そう動機づけしてきた。
やめよう。
自分のやりたいことをやろう。
ただ、ひたすらそのことを考えよう。
それが、結果的に誰かの役に立てばいい。
それくらいでいい。
自分の働く意味は自分で見つける。
人にゆだねない。
これは自分の考えが崩壊した瞬間。
どうしても、人に自分の存在意義をゆだねていた。
そうじゃなくて、もうやりたいことやればいいよ。細かいこと気にしなくていいよ。人なんかどうでもいいよ。
この気持ちを忘れなければいい。

それが、私にとって山に登ることだった。

点と点がつながった瞬間。

破壊してきたわ。
自分の価値観。
先入観。
なんだったんだろうねー
自分がこだわってきたものって人からの刷り込みだよ。
自分で選択したものじゃない。
でも、これからは自分で選択をする。
それでいい。
遠い未来よりも近い未来のわくわく感が大切じゃないか。
自分の未来を考えて不安になるんじゃなくて、わくわくしたい。
そう、単純に思った。

日本に帰国してからは、山岳ガイドの勉強をバイトをしながらしている。
でも、登りたい。
そろそろ、家の階段にも飽きてきた。
まさかの方向転換に我ながらびっくりだけど、
やってみるか、って意外と心は適応している。

うん、いろいろと破壊してきてよかった。